初めて「miruco」を使ってみて②
看護師 松村 亮さん
目次
- 初めて「miruco」を使った感想について
- 「miruco」に慣れるために工夫したことはありますか?
- 印象的な事例について
- 「miruco」導入後の変化について
- 今後「miruco」を使ってチャレンジしてみたいこと
- 「miruco」の今後について
インタビュー動画(約6分)
初めて「miruco」を使った感想について
今回の「miruco」が、私にとっては、初めてのエコー体験でした。もともと、病院で働いていたのですが、その病院では、エコーは高額な機器だから、看護師が触って壊してはいけないという考えであり、看護師には触れさせてもらえなかったのです。
そういったこともあり、使用当初はプローブをどのように持てば良いのか、また、どう当てたら良いのか、画像はどう見たら良いのかなど、分からないことばかりでしたが、「新しいモノだ!」という、とても新鮮な気持ちで触れていました。どう使っていくのか、きちんと使えるだろうか、という不安がありましたが、怖いという感情はありませんでした。
「miruco」に慣れるために工夫したことはありますか?
実際の現場で見る画像は、教科書に掲載されているような理想的なものばかりというわけにはいかず、鮮明には見えないことも少なくなかったので、どのように判断したら良いのかとても迷いました。しかし、同じような経験を繰り返すにつれて慣れてきて、画像を見るコツやエコーで観察する方によっての見え方の違いなどにも気付き、次第に自分で判断できるようになっていきました。
印象的な事例について
膀胱エコーを用いて利用者さんの苦痛を最小限に留めることができた事例を1つご紹介します。高齢の男性の方が体調不良をきっかけに、尿路感染を起こしてしまい、尿が出ない尿閉という状態になってしまいました。自力では排尿ができないため導尿が必要となったのですが、導尿は痛みが伴うため辛い、できれば導尿したくない、という利用者さんからの要望もありました。しかし、辛くとも処置しなければならないので、当初は1日2回導尿を実施していました。そのような中、投薬の調整などを進めた結果病状が回復に向かい、導尿が必要か否かを判断する段階になったことをきっかけに「miruco」を使用しました。結果、「miruco」を使用したことで、膀胱に尿が溜まっている時と溜まっていない時の画像をしっかりと確認し、自信を持って、“これ以上は導尿をしない”という判断をすることができました。
「miruco」導入後の変化について
「miruco」が無ければ所見や触診でしか判断できないため、“導尿しなくて良い”という判断には至らなかったと思います。また、本人だけでなく、ご家族にも導尿が必要ないということをエコーの画像を見せながら説明することで、お互いに納得して「導尿をしない」という判断を選択することができました。また、コミュニケーションが深まったことの副次効果として、「水分補給はしっかり行いましょう」といった生活指導も以前よりしっかりと行うことができるようになりました。
今後「miruco」を使ってチャレンジしてみたいこと
今はまだエコーの入門編で、一番見やすい膀胱を見ている段階ですが、今後は肺炎や脱水症状、心不全なども判断できるように、使用の幅を広げていきたいと思います。まずは膀胱以外の部位を見られるよう、ステップアップしていきたいと思っています。
「miruco」の今後について
看護師が訪問バッグに入れていく医療器具としては、聴診器・体温計・血圧計などがありますが、これにエコーという選択肢が加わったような認識です。今は聴診器と同じレベルで「miruco」を使っており、例えば、お腹が痛いという利用者さんがいた場合、これまでは聴診器でお腹の音を聞いて、触診することしかできませんでした。今では「miruco」を使ってお腹の中の様子を画像で見ることができます。「miruco」は聴診器だけでは分からないところを“見える化”してくれるため、より自信を持って判断をしたり、画像を利用者さんやご家族と共有することができるようになり、その結果、看護の幅が非常に広がっていることを実感しています。
訪問看護ステーションでも「miruco」が1人1台の時代になる、というのは遠い未来ではないと思います。これからも私たちが率先して「miruco」を使い続け、様々な訪問看護ステーションで使ってもらえるように広めていきたいと思っています。
※ご所属・役職等はインタビュー当時のものとなりますのでご了承ください。
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(取材協力:オレンジホームケアクリニック)